作者は絵画を描き、最後にその絵画を塗りつぶした。そして後日行われた展示では、その一部始終を撮影した映像を、塗りつぶされたキャンバスをスクリーンにして投影している。まるで墓石に直接故人生前の映像を投影しているような感覚で、壮絶だ。創造と破壊、愛着と離反、迷いと(当座の)悟り、そのすべてが込められた4分20秒の記録映像は、正しく表現と向き合おうとした作者の、作品というにはあまりに切実な決意表明のように映る。絵画という古典的な「制度」に安住しようとせず、対峙しようとする姿勢は、かつての美共闘の行いを思い起こさせた。今後は絵画を手放して映像に進むのだろうか?ぜひ創造と破壊を続けていってほしい。 (金澤韻)
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